校長先生とのお別れ

その日の午後2時発のバスでポアンタ・サヒブからダラムサラに行くことになりました。
ダラムサラにチベットの文部省があり、そこでヤンチェンのことが解るかも知れないと知ったからです。
日本を発つ時点では、ダラムサラに行くことはまったく予定にもないことで予想もしていませんでした。
がしかし、ダラムサラ行きは自然に決まったことだったので、これから先は流れるまま身を任せてみようと思いました。
チケットは校長先生が手配してくださり、「文部省の方にも連絡を入れておくので何も心配することはない。着いたら訪ねてください。」また、「ダラムサラには早朝に着くので日が登るまでバスセンターにいたほうが無難でしょう」と言われました。
あらためて校長先生の慈しみのあるやさしい心にうたれ本当に感謝でいっぱいになりました。
駅はたくさんの人でごった返していました。
バスを待っている間、蛇を首に巻いた不気味な乞食がやってきました。
周りの人がいやがっているのにわざと近づいてきて、お金を貰うまでそこを離れずお金を貰うとまた別の人の所に行き同じことを繰り返すのです。
その乞食がやってくると校長先生はニコニコして、お金を施していました。
私ときたら、なるべくその乞食と気持ち悪い蛇と目をあわせないように遠ざかっていました。
予定の時刻より少し送れてバスは到着しました。
別れるのが寂しくなりました。短い間だったけれど、私の心から決して消えることのない大切な贈り物をいただいたような気がしました。
私はバスから「ありがとうございました。さようなら。」と何度も手を振りました。

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