ダラムサラへと向かう

バスの中を見渡すとインド人に混じってチベット人も何人かいた。私もインド人からみたらきっとチベット人に見えたかも知れません。
でも、なんだかうれしく思いました。
私の座った席は3人掛けの一番前の席で隣には、気のよさそうなインド人の男性が2人座っていました。
念のため、荷物をバスの金属の棒にしっかりとチェーンでつなぎカギをかけました。
自分のことは自分でしっかりしないと誰も責任をとってくれないし、スキがあると荷物はあっというまにどこかへ消えてしまいます。インドはそんな国なのです。
ポアンタ・サヒブからダラムサラへは13時間かかり明け方3時頃に到着するようです。
インドで13時間もバスに乗るのは始めてだったので考えると気が遠くなりました。
それも観光用のデラックスバスではなく各駅停車の普通のバスだったのでシートが堅く、おしりが痛くなりました。
このインドのバスは日本と違って バス停にかかわらず、どこでも降りたいところで降ろしてくれるし、手をあげると止まって乗せてくれるので、良心的だとおもいました。
3月でも日中はかなり暑く日差しも強く汗ばみます。窓からビュンビュン風が入り込み気持ちが良いのですが、土ボコリも一緒に入って来るのでハンカチはすぐ汚れてしまいます。
途中 何時間か走った後に何回か休憩して、チャイ(インドのミルクティー約8円)を飲みました。
チャイは、厚手の薄汚れた耐熱成ガラスのコップに入っていて、一瞬飲むのをためらいましたが、濃くておいしいミルクティでした。
インドのバスはいつ出発するのかわからないのでバスから目を離さないように気をつけながらオヤツのバナナを4〜5本買いました。
ダラムサラへ着くまでに運転手は3人交代しました。運転手によって性格が違います。
3人目の運転手はこれまでにない猛スピードで飛ばしていきました。
夜10時頃だったと思いますが突然二車線の広い道路にでました。
続く 両脇の電柱と電柱の間には、オレンジ色の小さくて丸い電球がいくつも並び、その光はあまりにも鮮明で一気に眠気が吹っ飛んでいました。
マハラジャ宮殿に似た建物に装飾されたオレンジ色に輝くネオンの光の数々、とても美しくタイムスリップして<おとぎの国>にでもいるような気分になりました。
新道路の開通のお祝いだったらしく夜店も並んで、大人も子供も遅くまで楽しんでいるようでした。
何キロにも渡り続いた<おとぎの国>を通り抜けまたバスは暗い道を走り続けました。
一瞬、さっきみたものは夢かと思ったが、興奮はまだ続いていてこれから見知らぬ土地を旅する私たちへの歓迎のセレモニーにも思えました。
運転手は山道にかかわらず猛スピードを出し乱暴な運転で走りつづけていきます。
右や左にハンドルを切るたびに大きく車体がゆれるので、何度も窓ガラスに頭をぶつけたり、投げ出されてしまいそうになりました。
もう真夜中、 前の手すりに捕まっていても眠いのでついうとうとしているうちに、手すりから勝手に手が外れてしまいます。
周りを見渡すとみんな、気持ちよさそうにこっくりこっくり、左右にゆれています。
突然、バスは止まりました。窓越しで運転手と警官が何か話しています。暗闇のなか10人ぐらいの人影もみえました。
何があったのでしょうか。ぜんぜん解ません。エンジンも止まり運転手と乗客何人かがバスから降りました。事件でしょうか?まったく解りません。少し怖くなりました。暗闇から、たき火の燃え上がる炎だけが浮かんで見えます。バスの中はしーんと静まりかえっています。乗客がもどってきました。何かヒンドゥー語で周りの人と話しているが私にはまったく解らません。
私がジタバタしてもしょうがありません。
また、少し眠くなってきたので目をつぶったままで事態の無事を願いました。
どれくらいたっただろうか。 ブブブッーと鈍いエンジンの音が車内に鳴り響きました。
やっと出発です。 ダラムサラまであと数時間、ほっとしたのかまたすぐに眠りに落ちていきました。

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