聖なる場所
自然の中の『聖なる場所』というのは独特の雰囲気をもっており、それは人間を変性意識状態へと導く力を持っている。日常を超えた霊性を帯びた場所である。
ジェームズ・スワンは聖地を 次の十四のタイプに分類している。
(1)墓所や霊園、先祖を埋葬する場所、
(2)浄めの場、
(3)癒しの場、
(4)聖なる植物や動物の場、
(5)石切り場、
(6)天文観測台、
(7)聖堂、寺院、聖像、
(8)史跡、
(9)霊的に生まれ変わる場所、
(10)神話や伝説の場所、
(12)ヴィジョンを得、夢見を行なう場所、
(12)岩の芸術の場、
(13)豊穣性あふれる土地、
(14)太陽が昇る儀礼を行なう場所、次に『聖なる場所』での様々な体験を九つに分類している
1様々なエクスタシー
場所の持っている力が入り込み力と確信が浮かび上がってくる。
2神秘的な存在を目撃する。
3自然と一つになる。
4鮮明な夢
5異なる生物とのコミュニケーション
6雪男やUFOの目撃
7奇妙な匂い、音、空気
8神の声
9死と再生ウォルター・ステイスによると、この意識状態の時間に、以下の七種の感情がしばしば引き起こされるという。
1あらゆるものと一体、あるいは同じであるという感覚、
2時間と空間が消失したような感覚、
3何らかの客観的あるいは究極的な実在に触れているという感覚、
4祝福されている歓びの感情、
5神聖なものが目の前にいるという感情、
6聖なるものの感情、
7その経験を言葉でいうことも、何らかの言葉に結びつけることもできないという感情、超越的体験は次の様な典型的な時間的経過をたどる。持続時間はたいてい30分を超えることはないという。
A 感情の高揚と、高い力に導かれているという感覚
B 環境から誘発する要因が現われ、自我を不安定にし意識状態が目まぐるし
く変化する状態が始まり、至高体験にいたる。
C 至高体験。力の感覚、至福、不思議さ、喜び、畏怖、そして愛。激しい興
奮とリラックスが同時に体験される。
D ヴィジョン、予言、種族を超えた意思の疎通、不思議な音楽を耳にすること
などといった形で、力が顕在する状態。
E 日常の現実への回帰。霊感を与えられ深い感動を覚えている。体験を統合
する取り組みの始まり。自己実現と狂気の違い
古来よりヴィジョンや神秘的な白昼夢というのは聖者や、インディアンや、ヨガ行者や、恋をする人や、詩人、そして狂人が関わる領域だった。 心理学や精神医学の教科書の多くではこれらは急性の分裂病の症状だとされている。トランスパーソナル心理学では至高体験つまり、より高次な健康状態とこのような超越的体験の両立は可能としている。では精神障害を持つ人とどこが違うのかというと健康な人は超越体験をしてもは現実との接点を失わないが精神障害を持つ人は現実との接点を失って制御できない。狂った人は意識の海で溺れるが本物のシャーマンは泳ぐということだ。
汚染され破壊される聖地
建物が建てられている聖地も昔は自然のままだった。特別な霊性を帯びた場所は古来から礼拝が行われてきた。実際ヨーロッパの教会があった場所はかつてキリスト教以前の宗教の礼拝の場所だった事が知られている。シャーマンによると「聖なる場所」は自然との調和を取り戻すのための唯一の場所だという。現代のシャーマン達は熱帯雨林を破壊したり、聖地にスキー場、ゴルフ場、原子力発電所や化学工場を建てたり、現代人があまりにも雑に聖なる場所を扱うことで、地球のバランスが崩れてしまう事を懸念している。
参考文献 「聖なる場所」 ジェイムズ・スワン著 春秋社